「月1万円の配当がもらえたら、通信費くらいはまかなえるのに」
高配当株に興味を持った時、最初に浮かぶのはこういう具体的な金額ではないでしょうか。そして次に浮かぶのが「で、いくら必要なの?」という疑問です。
検索するとよくある答えは「利回り4%なら300万円」。この計算自体は合っています。ただ、多くの早見表にはひとつ落とし穴があって——その300万円で受け取れる月1万円は、税引前の数字 です。課税口座では配当から税金が引かれるので、実際に口座へ入る金額はもっと少なくなります。
「月1万円ほしい」という気持ちは、手取りの感覚のはず。だったら計画も手取りで立てるのが自然です。
僕は日本株と米国ETFあわせて145銘柄を保有する経理マンです。このブログでは配当をすべて手取り(実際の受取額)で記録してきました。この記事では、その流儀のまま 「手取りベース」の必要元本早見表 と、シミュレーションと現実がどうズレるのか、僕の実際の数字 をお見せします。
※本記事のシミュレーションは一定の仮定に基づく概算であり、将来の受取額を約束するものではありません。特定の銘柄・商品の推奨ではなく、投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
この記事を書いた人
フク|経理×投資×筋トレ
- アラフォーの会社員。一般企業で経理・財務を担当
- 新NISAをS&P500で積立中。保有銘柄数145、年間配当手取り9万円
- 米国高配当ETF(VYM・HDV・SPYD)も特定口座で運用中
- ジム通い、バイクでのツーリングが趣味
- 「複利で健康・資産・楽しい事を同時に育てる」がモットー
- ブログ「複利ノート」運営
経理の仕事では、見積もりと実績の差を毎月にらんでいます。配当も同じで、計画(シミュレーション)と実績(受取額)を並べて初めて使いものになる——この記事はその両方を扱います。
前提:なぜ「手取り」で計算するのか
最初に、この記事の計算ルールを共有させてください。
課税口座(特定口座など)では、配当から約2割の税金が引かれます。 税引前で月1万円を受け取れる元本を用意しても、口座に入るのは月8千円弱。「月1万円の生活費に充てる」つもりだったなら、計画の時点でズレていたことになります。
税金の仕組みそのもの——どういう税がどう引かれるのか、確定申告で取り戻せるケース——は「高配当株の税金完全ガイド|経理マンが教える節税3ステップ【2026年版】」で詳しく整理しているので、本記事では結果だけ使います。
もうひとつの前提は 利回りのレンジ です。この記事では3〜4.5%で計算します。「利回り6%ならもっと少ない元本で済むのでは」と思われるかもしれませんが、高利回りには高利回りの理由があることが多く、減配になれば計画そのものが崩れます。無理のないレンジで計画して、銘柄選びで欲張らない——これが遠回りに見えて近道だと考えています。高利回り銘柄の注意点は「高配当株の落とし穴|減配継続リスクの見抜き方【経理マン視点・2026年版】」に譲ります。
早見表:月いくらほしい → 元本いくら必要?
それでは本題です。「手取りで」月いくらほしいか から、必要な元本を逆算しました。
課税口座の場合(手取りベース)
| 手取り目標 | 利回り3% | 3.5% | 4% | 4.5% |
|---|---|---|---|---|
| 月5千円 | 251万円 | 215万円 | 188万円 | 167万円 |
| 月1万円 | 502万円 | 430万円 | 376万円 | 335万円 |
| 月3万円 | 1,506万円 | 1,291万円 | 1,129万円 | 1,004万円 |
| 月5万円 | 2,510万円 | 2,151万円 | 1,882万円 | 1,673万円 |
※税引後の手取り率を約79.7%として計算した概算です。
冒頭の「月1万円×利回り4%」で見ると、税引前の早見表なら300万円、手取りベースでは376万円。その差は約76万円です。決して小さくない金額なので、計画はこちらの表で立てることをおすすめします。
NISA口座の場合(非課税=税引前のまま)
| 手取り目標 | 利回り3% | 3.5% | 4% | 4.5% |
|---|---|---|---|---|
| 月5千円 | 200万円 | 171万円 | 150万円 | 133万円 |
| 月1万円 | 400万円 | 343万円 | 300万円 | 267万円 |
| 月3万円 | 1,200万円 | 1,029万円 | 900万円 | 800万円 |
| 月5万円 | 2,000万円 | 1,714万円 | 1,500万円 | 1,333万円 |
NISA口座なら配当が非課税なので、税引前の数字がそのまま手取り になります。月1万円×4%なら300万円——課税口座との差76万円は、そのまま非課税のメリットです。ちなみに僕自身は、新NISAの枠では高配当株を買っていません(積立はS&P500です)。その理由と枠の考え方は「新NISA満額360万円の使い方|経理マンが高配当株を入れない理由【2026年版】」で書いています。非課税の効きが大きいのはどこか、という視点で枠の使い道を決める話です。
表の読み方は3行で
- まず金額を決める(月5千円でも十分立派な目標です)
- 口座を決める(NISA枠が使えるなら必要元本は約2割軽くなる)
- 利回りは欲張らない(3.5〜4%あたりで見ておくと計画が現実的になります)
わが家の現在地:シミュレーションと現実はこうズレる
早見表を見ると「なるほど、376万円ね」と一直線に思えますが、実際にやってみると 計画通りには進みません。僕の今年の数字をお見せします。
- 保有145銘柄、年初来の手取り配当は約5万円(8月時点)
- 一番多かった月は 6月の34,544円
- 一番少なかった月は 7月の866円
同じポートフォリオなのに、月によって受取額は約40倍も違います。日本企業は3月決算が多く、期末配当が6月にまとまって振り込まれるためです。この凸凹の理由と対策は「配当金を毎月受け取る日本株の組み合わせ|経理マンの配当カレンダー設計【2026年版】」に書きました。
つまり、シミュレーションと現実のズレには正体があります。
- 元本は積み上げ途中——早見表は「完成形」の姿。道の途中では受取額はまだ小さい
- 権利月の偏り——「月平均1万円」であって「毎月1万円」ではない
- 増配・減配——企業側の変化で、同じ元本でも受取額は動く
だからといって早見表が無意味なわけではありません。早見表は「地図」、実績は「現在地」。地図だけでは進んでいる実感が持てず、現在地だけでは目的地までの距離が分かりません。両方そろって、初めて計画として機能します。
必要元本を縮める3つの力
「376万円」と聞くと遠く感じるかもしれません。でも、この数字を 今すぐ一括で用意する必要はありません。むしろ早見表の数字は、時間とともに縮んでいきます。3つの力が働くからです。
① 入金:積み上げの本体
当たり前のようで一番大事な話です。月3万円の入金なら年36万円。10年強で376万円に届きます。早見表は「いつか届く目的地」であって、入金はそこへ向かう歩みそのものです。
② 再投資:受け取った配当を働かせる
受け取った配当を使わずに再投資すると、その分も新しく配当を生み始めます。入金だけの場合と比べて、後半になるほど到達が早くなる——いわゆる複利の効果です。
③ 増配:同じ元本のまま受取額が育つ
日本の高配当株には、毎年配当を増やしてきた企業が少なくありません。増配されると、元本を追加していないのに受取額が増えます。言い換えると、必要元本のほうが勝手に下がってくれる感覚です。
早見表は今の利回りで撮った 静止画 です。実際の配当投資は、入金・再投資・増配の3つが同時に動く 動画。ブログ名の「複利ノート」は、この動きを記録していくという意味でもあります。
計画とセットで「記録」を持つ
最後に、シミュレーションを立てた後の話です。
計画だけだと、正直続きません。月1万円という目的地に対して、いま自分がどこにいるのか——それが見えないと、相場が下がった時に「意味あるのかな」と感じてしまうからです。逆に、手取りの受取額が積み上がっていくのが見えると、続ける理由になります。
僕は毎月、楽天証券のCSVを2つ貼るだけで手取り配当・月別グラフ・銘柄別利回りが自動で出る配当ダッシュボードを自分用に作って使っています(先日、同じものをBOOTHで販売も始めました)。ツールは何でもいいのですが、「手取りでいくら受け取ったか」を毎月見られる仕組み を計画とセットで持つことをおすすめします。
まとめ:金額から逆算すれば、配当は計画できる
- 「月いくらほしいか」から逆算する。早見表は手取りベースで見る
- 月1万円×利回り4%なら、課税口座で 約376万円・NISAなら 300万円
- 現実は月ごとに凸凹する。早見表は地図、実績は現在地
- 必要元本は 入金・再投資・増配 の3つの力で年々縮んでいく
- 計画とセットで、手取りの受取額を毎月記録する仕組みを持つ
これから始める方は、まず「配当投資の始め方|経理マンが教える失敗しない5ステップ【2026年版】」からどうぞ。月5千円の景色から、少しずつ育てていきましょう。
※本記事のシミュレーションは概算であり、将来の配当・株価を保証するものではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
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おすすめ証券口座
シミュレーションを立てたら、次は実行の場所です。配当金の受取履歴をCSVでダウンロードできる証券口座だと、この記事で紹介した「手取りの記録」がそのまま作れます。
| 証券会社 | 強み | 配当のCSV出力 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 楽天証券 | 楽天ポイント連携・画面が見やすい | ◎ | ★★★ |
| SBI証券 | 業界最大手・銘柄数が豊富 | ◎ | ★★★ |
僕は運用をいまは楽天証券に集約しています。日本の高配当株と米国ETFをどちらも特定口座で管理していて、配当金・分配金の受取履歴をCSVで出力できるので、手取りベースの記録と月別の集計がラクに続けられています。
ポイント連携や使い慣れた銀行があるなら、その経済圏で揃える方が長期的にラクになります。迷ったら楽天かSBIで十分だと考えます。
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※免責事項
本記事は筆者の経験と分析に基づく情報提供であり、特定の銘柄・金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。株式投資にはリスクが伴います。投資判断はご自身の責任で行ってください。記事中のシミュレーションは一定の仮定に基づく概算であり、将来の配当・株価・受取額を保証するものではありません。最新の財務情報・配当方針は各企業の公式IR・決算短信、およびIRバンク等の情報サイトでご確認ください。

